BtoB企業において、請負先の要求を満たすことが
基本的なビジネスモデルとなるケースは多くあります。
しかし、それだけでは競争優位性を確立することが難しく、
市場の成長やシェア拡大にはつながりにくいのが現実です。
その典型的な事例として、ある飲料自販機メーカーのケースを紹介します。
BtoB企業における商品企画の真価
〜最終ユーザー視点による価値創造戦略の成功事例〜
BtoB企業において、単なる請負型ビジネスモデルでは、競争優位性を確立することが困難です。市場の成長やシェア拡大には、新たな価値創造が不可欠となります。
事例:業界二番手以降の飲料自販機メーカー
飲料メーカーを主要取引先とする自販機メーカーは、以下のような「当たり前」の要求に応えるだけでは、価格競争を強いられる状況にありました。
特に、規模の経済を活かした業界1位メーカーとの相見積もりでは、価格面で勝つことが困難でした。
従来のアプローチ
飲料メーカー(直接顧客)の要求対応に注力
コスト削減と効率化が中心
競合との差別化が困難
新たな戦略
最終ユーザー(消費者)視点の導入
潜在ニーズの発掘と解決
独自の価値創造による差別化
顧客(飲料メーカー)の先にいる最終ユーザーの課題解決が、真の競争力につながる
ユーザー観察調査で発見された課題
- 👆取り出し口が使いにくい
- 🔘購入ボタンを間違えやすい
- 💰お釣り受け取りでかがむ必要あり
- 📱スマホ決済がスムーズでない
重要な発見:これらの課題は飲料メーカー自身も十分に認識していませんでした。
最終ユーザーの課題解決に焦点を当てた、「使いやすさ」という新たな価値を創造するための商品開発を実施しました。
取り出し口の設計改善
手が痛くならない形状への変更により、ユーザー体験を向上
直感的に操作できるボタン配置
視認性と操作性を高めることで、購入プロセスをスムーズに
お釣り受け取り位置の改善
受け取り位置を高くし、身体的負担を軽減
スマホ決済のUI/UX改善
操作性の向上によるデジタル体験の最適化
コスト競争からの脱却
価格以外の付加価値による差別化に成功
ブランド価値向上
「最終ユーザーに選ばれる自販機」としての評価獲得
取引拡大
飲料メーカーからの新規受注増加
組織強化
「顧客価値創造対策」専門部門の新設
最終成果:工場増設による生産性向上
受注増加に伴い、新設備導入と工場拡張を実現
この価値創造戦略には、以下のようなリスクと課題が伴いますが、適切な対策により克服可能です。
1. 開発コストの増加
新たな価値を生み出すには、一時的な開発コスト増加が避けられません。
対策:中長期的なROI視点での投資判断と段階的実装
2. 社内の意識改革
請負型開発から商品企画重視への転換には、組織的変革が必要です。
対策:経営層のコミットメントと社内横断プロジェクト推進
3. 市場での受け入れリスク
最終ユーザーのニーズを反映した商品が、すぐに市場で受け入れられるとは限りません。
対策:マーケティングとプロモーション戦略の連携強化、段階的な市場投入と検証
商品企画を単なる開発プロセスではなく、経営戦略の核心として位置づけることで持続的な成長を実現
コンサルティングによる支援内容
- 📊最終ユーザー調査・分析支援
- 💡価値創造ワークショップ実施
- 🔄組織変革プログラム構築
- 📋商品企画プロセス確立
- 📈投資対効果分析
- 🌐市場導入戦略立案
まとめ:BtoB企業における商品企画の重要性
この飲料自販機メーカーの事例は、
BtoB企業においても最終ユーザー視点の商品企画が競争力向上に直結することを示しています。
請負先の要求を満たすだけでは市場競争で勝つことは難しく、最終ユーザーの行動を観察し、
潜在ニーズを掘り起こすことで、新たな価値を生み出すことが可能になります。
BtoB企業が成長し、価格競争から脱却するためには、商品企画を単なる開発プロセスではなく、
経営戦略の一環として捉え、企業全体で取り組むことが必要です。
この視点を持つことが、持続的な企業成長につながる大きな鍵となるでしょう。