今回は新商品開発に重要なアイデア発想についてお伝えします。

ある食品会社創業者の言葉で
「会社の中で机に向かっているだけが商品開発ではない。
意外な場所で意外な時に斬新なアイデアが生まれる可能性が高い」

ひらめきと創造力の企業遺伝子を継承するために以下の制度を設けました。

街をぶらぶらすることが任務である「ぶらぶら社員」制度が
商品開発に結びつく情報を会長に伝えるだけ、
そのために移動するための交通費や飲食代などの経費を会社が負担します。
日本にとどまらず、海外でも可能です。

この制度を復活して新商品開発に活かします。

当時の社長の言葉は
当社は、次に何を開発するかという点が弱いと感じているので、
自由気ままに2年間ぶらぶらしてくる辞令でした。

社長としての業務に追われる自分がぶらぶらするわけにはいかない。
そこで商品開発の能力とセンスに長けた営業部の担当者に、
自分の分身として白羽の矢を立てたました。

1978年に制度が設けられます。

担当者は社内の会議や試作試食会などに参加して、アイデアを考えたのですが
よいアイデアが浮かびません。
「外に出て、新しい体験をしたり、
食べたことないものにチャレンジしないとダメだ」。と気づき、
2年間海外、国内の食べ歩きをして、
この食品業界では手がけていない中華スープと春雨の食材を企画し
社内の評価も高く、商品化が決定して中華惣菜を世に出し
今では定番商品となっています。

この制度の長所、短所は

アイデアは机上では生まれないことに強く賛同します。
また、非常に自由でユニークな制度です。
新商品開発はトップから権限委譲され、自由に発想できると
思いがけないアイデアが生まれます。

また、アイデア出しには情報収集が不可欠であり、
既存の商品に加えたものが新しいアイデアになります。

疑問もあります。
一方,本当にぶらぶらしているだけであったのか。
2年間、ずっと食べ歩きをしていただけであったのか。

この制度を復活するに当たり
25年前と同じように新商品アイデアが出るのか。
当時のようにその予算はあるのか。
社長の片腕となるアイデアマンは社員1人でよいのか。

問題も多々ありそうです。

食品業界の商品開発の現場をヒアリングしたことがありますが。

・食品業界は商品開発をアイデア発想だけと捉えていることも多い。
・失敗しても単価が安いので、新に新商品開発をすればよい。
・担当者がいくつの製品の担当を持ち、常にアイデアを出している。
・カリスマアイデアマンがいて1年に必ずと言ってヒット商品が出る。

食品業界の商品開発に必要なことは、

・既存製品の改良改善では顧客の声を取り入れる。
・新規商品では顧客調査を行い、購入意向を検証する。
・カリスマアイデアマンだけではなく、他の社員もできるようにする。
・商品開発プロセスを見える化してマニュアル化する。