品質管理において「技術(シーズ)」と
「顧客視点(ニーズ)」のバランスを取ることは、
企業が持続的な競争優位を築くための重要な戦略です。
先日のシンポジウムでも指摘されたように、
技術を優先しすぎれば市場に受け入れられないリスクが生じ、
顧客のニーズに迎合しすぎれば競争力を損なう可能性があります。
この課題を解決するためには、
商品企画七つ道具を活用した体系的なアプローチが求められます。
まず、ヒアリングやインタビュー調査を通じて顧客の潜在的な課題や期待を抽出します。
例えば、新製品の信頼性や操作性に関する曖昧な要求を明確化することで、
技術者とマーケティング担当者が共有できる具体的な課題を設定します。
この後、アンケート調査を実施し、定量的データを収集することで、
ニーズの優先順位や顧客層の違いを明らかにします。
さらに、得られたデータを基にポジショニング分析を行い、
自社の技術的強みを市場でどのように活用するかを検討します。
例えば、自動車部品メーカーであれば、以下のような具体的な戦略が考えられます。
ドアを例に
ニーズとして開けやすくして欲しい。
シーズはドア部材の軽量化と安全性と耐久性の両立が必要となります。
薄くても強度を確保する技術、部材のモジュール化など
技術シーズを基に顧客にわかりやすい仮説案を検討します。
この際には、仮説案と比較してどの程度、軽量、耐久、安全性が
向上するかを定量的に示すことで、
差別化を明確にすることが重要です。
次に、これらの洞察を基にアイデア発想法やアイデア選択法を活用して新製品の方向性を定めます。
例えば、ニーズ調査から「低コストで高耐久性」という要求が見つかった場合、
自社の素材加工技術を活かしながら、製造コストを抑える新しい方法を検討します。
商品企画七つ道具を用いる意義は、単にニーズとシーズを並列的に扱うだけでなく、
それらを経営戦略に基づいて統合する点にあります。
これにより、品質管理の分野においては「市場がまだ気付いていない価値」を
提供する製品開発が可能となります。
具体的には、顧客ニーズを捉えるだけでなく、
将来の市場動向を見据えた戦略的判断が求められます。
シンポジウムで共有された「ニーズとシーズの統合的視点」を品質管理に活かすことで、
企業は顧客満足と競争力の両立を実現できるでしょう。
商品企画七つ道具は、この目的に向けた確かな手段を提供します。