今回は、「商品企画七つ道具」を活用した商品開発プロジェクトの事例を紹介します。
市場動向を踏まえた現状分析から、潜在ニーズの発掘、製品仕様の決定までのプロセスを解説します。

  1. 商品企画プロジェクトの背景
    本プロジェクトでは、現状商品の市場での位置づけを分析し、
    競争力のある新製品を企画しました。

現状分析と目標設定
業界動向の把握:市場のトレンドや競合製品の動向を調査
既存商品の課題洗い出し:顧客からのフィードバックや売上データを分析

目標設定:
購入意向の向上
顧客満足度を5ポイント向上

  1. 対策方法とアプローチ
    新製品の企画に向けて、以下のプロセスを実施しました。

・顕在ニーズの洗い出し:既存ユーザーの不満点や要望を整理
・潜在ニーズの発掘:ターゲットユーザーの行動観察や日記調査を実施
・自社製品の強み・弱みの確認:競合製品と比較し、差別化要素を明確化
・製品仕様の検討:収集したデータを基に具体的な仕様を策定

  1. 潜在ニーズの発掘 – デスクワークユーザーの課題
    ターゲットユーザーとして内勤職・デスクワーク従事者を対象に、日記調査を実施。
    その結果、以下の潜在ニーズが明らかになりました。

・発見された課題(潜在ニーズ)

背もたれがほとんど使われていない → 椅子の設計が合っていない可能性
休憩時に背伸びをしたいがスペースがない → 快適なリラックス機能が求められる
前傾姿勢が多く、姿勢が崩れやすい → 姿勢をサポートする機能が必要
長時間座ることで蒸れやすい → 通気性の良い素材が重要

  1. 新製品の仮説構築
    上記の潜在ニーズをもとに、新しい椅子のコンセプトを立案。

新製品の仮説
・体圧分散:長時間座っても疲れにくい設計
・浅く座れる椅子:前傾姿勢でも快適に座れるデザイン
・背伸び用背もたれ:リラックス時にしっかりサポート
・蒸れない素材:通気性の良いファブリックを採用

  1. 仮説の検証 – アンケート調査
    立案した仮説をアンケート調査で検証し、ユーザーの評価を分析しました。

検証ポイント
・姿勢サポートの効果
・座り心地の向上
・健康促進機能の評価
・利便性の高さ
・省スペース性の確保

  1. 具体的な製品仕様の決定
    アンケート結果を踏まえ、以下の仕様を最適化。

決定した製品仕様

・背もたれ機能の強化(背伸び対応、前傾サポート)
・防汚機能の向上(清潔に保ちやすい素材)
・体圧分散設計(長時間の座り心地改善)
・健康サポート機能(姿勢改善、腰への負担軽減)
・省スペース設計(オフィスや自宅で使いやすい)
・価格設定の最適化(コストパフォーマンスの向上)

調査結果

・購入意向スコア:4.1点(5点満点)
・最適水準評価:4.3点(市場競争力のある水準)

  1. 商品企画七つ道具の活用効果
    本プロジェクトでは、「商品企画七つ道具」を活用することで、
    ターゲットユーザーの潜在ニーズを明確化し、
    データに基づいた新製品開発を実現しました。

・市場の動向を的確に把握し、競争力のある製品企画を実施
・顧客インサイトを深掘りし、新たな価値を創出
・仮説検証により、開発リスクを低減し、確実性の高い製品仕様を決定

  1. 市場規模の仮定
    国内オフィスチェア市場規模:1,500億円(業務用・個人用含む)
    市場成長率:年2~5%
    主要ターゲット:デスクワークを行うオフィスワーカー
  2. 製品の価格設定と販売目標(仮定)
    新製品の想定価格:3万円(市場の中価格帯)
    初年度の販売目標:5万台(市場シェア約1%)

試算される初年度売上
3万円 × 50,000台 = 150億円
この数値は、以下の要因によって変動します。

強力なプロモーションや法人契約が取れる場合:販売台数が増え、最大10万台(売上300億円)も視野
市場競争が激しく、浸透が遅い場合:販売台数3万台(売上90億円)程度に留まる可能性

  1. 市場の変化と影響
    市場シェアの変化

仮に 年間50,000台 販売できれば、業界全体の約1%のシェア獲得が見込める。
中価格帯(2~5万円)の椅子市場では、競合の製品と差別化が重要。

消費者の意識変化

「前傾姿勢・姿勢サポート」に特化した製品は、従来市場には少ない。
健康志向の高まりと在宅勤務の普及により、
姿勢サポート機能付きの椅子の需要は伸びる可能性が高い。

競合の反応

他社も「姿勢サポート」や「健康機能」にフォーカスした製品を出す可能性あり。
競争が激化すれば、価格競争や機能追加が求められる。

11.売上&市場インパクト予測
初年度売上:90億~150億円(市場シェア約0.6%~1%)
3年後の累計売上:300億~500億円(継続成長できれば)

市場の変化:競争の激化・健康意識の高まりによる関連市場の拡大
この試算は仮定に基づくものですが、ターゲット市場を明確にし、
販売戦略を最適化すれば、さらに大きな成功が見込めます。

これにより、顧客満足度向上・購入意向の向上を達成し、
製品の成功につながりました。